うつ病

うつ病

私たちは、生活の中でさまざまな出来事が原因で気持ちが落ち込んだり、憂うつな気分になったりすることがあります。しかし、時間が経過すると落ち込んでいた気分から回復して、また元気に頑張ろうと思える力をもっています。

ところが、落ち込んでいた出来事や原因が解決しても一日中気持ちが落ち込んだままで、いつまでたっても気分が回復せず、強い憂うつ感が長く続く場合があります。

このため、普段どおりの生活を送るのが難しく、意欲がでない、考えがまとまらない、眠れない、疲れやすいといった症状が長く続いて、思い当たる原因がないのに、日常生活に支障をきたす状態になるのが、うつ病です。

原因

うつ病は、まだわからないことが多い病気です。脳の神経の情報を伝達する物質の量が減るなどの脳の機能に異常が生じていると同時に、もともともっているうつ病になりやすい性質と、ストレスや身体の病気、環境の変化など、生活の中のさまざまな要因が重なって発病すると考えられています。

人間の脳の中には、神経伝達物質と呼ばれる物質があり、無数の神経細胞に情報を伝達する働きをしています。うつ病の時は、神経伝達物質のうちの、気分や思考、意欲などを担当するセロトニン、ノルアドレナリンの量が減っている事がわかっています。

言語・運動・精神活動を担っている脳の前頭葉を中心に、脳の血流や代謝が低下していることもわかってきています。
また、生真面目・几帳面・仕事熱心・責任感が強い・気が弱い・人情深い・いつも他人に気を配る・相手の気持ちに敏感などの性格の場合、うつ病が起こりやすい性格と考えられています。

症状

うつ病の症状には精神症状と身体症状があります。また、これらの症状が、一日のなかで時間とともに変化するのも、うつ病の特徴です。多くの場合は、朝が最も悪く、夕方にかけて回復していきます。

精神症状
  • 抑うつ気分
    気分が落ち込む・憂うつ・理由もなく悲しい気持ちになる・何の希望もない
  • 興味や喜びの喪失
    今まで好きだったことや趣味をやる気になれない・テレビや新聞を見てもおもしろくない・性的な関心や欲求も低下する
  • 精神運動の障害
    身体の動きが遅くなる・口数が少なくなる・声が小さくなる・また、逆にじっと座っていられない・イライラして足踏みをする・落ち着きなく身体を動かす
  • 思考力や集中力の低下
    頭がさえない・考えがまとまらない・決断力や判断力が低下する・反応が遅くなる・仕事の能率が落ちる・注意力が散漫になって人の言うことがすぐに理解できない
  • 意欲の低下
    人と会ったり話したりするのが面倒になる・何をするのも億劫
  • 自責感
    何でも悪いほうに考える・必要以上に自分を責める・まわりの人に申し訳ないと思う
  • 希死念慮(きしねんり)
    生きていくのがつらい・死んだほうがましだなど考える
  • 精神病症状
    自分が重大な罪を犯したと思い込む罪業妄想・貧乏になったと確信する貧困妄想・癌などの重い病気になったと思いこみ、検査結果で心配ないと話しても信じない心気妄想
身体症状
  • 睡眠異常(不眠・または睡眠過多)
  • 食欲の低下・または増加
  • 疲労・倦怠感
  • ホルモン系の異常(月経不順・性欲の低下・勃起障害)
  • 頭痛(すっきりしない鈍い痛み)・頭重
  • 肩・腰・背中の痛み

東洋医学的うつ病の治療

弁証(区別)と症状

実際に病気が進行してゆく過程を説明しながら弁証(べんしょう)(区別)をしていきます。わかり易く説明するために発病初期と慢性期とに分けて説明いたします。

《発病初期の弁証》

以上が初期の時点での弁証(べんしょう)(区分け)と状態の進行具合です。

次に初期の時点ではどの様な症状が現れるのかを弁証(べんしょう)別に紹介いたします。

初期の共通症状

急に発病する又は急激に増悪します。
情緒不安定・怒りっぽい・脇や胸の張痛・口が苦い・ゲップ・ため息・イライラ。

「肝火上炎(かんかじょうえん)」の固有の症状
眩暈・耳鳴り・頭痛・目が赤い

「肝火犯胃(かんかはんい)」の固有の症状
お腹の張った痛み・胸焼け・悪心

「気滞血瘀(きたいけつお)」の固有の症状
症状が長く続く・張った痛みや刺す様な痛み・痛みの部位は次第に固定してくる

「気滞痰鬱(きたいたんうつ)」の固有の症状
喉の中に異物感があり、飲み込んでも下がらず出そうとしても出ないが飲食の嚥下は正常。悪心・嘔吐以上が初期の弁証(べんしょう)と症状です。

次に慢性期の弁証(べんしょう)を説明します。

《慢性期の弁証》

次に慢性期の症状を弁証(べんしょう)別に紹介してゆきます。

1.2.3.の共通症状
過労で症状が悪化します。たまに「気鬱(きうつ)」の症状(手のしびれ、喉のつまりなど)も出ます。

「心脾両虚(しんひりょうきょ)」の固有の症状
※「心脾両虚(しんひりょうきょ)」とは「心血虚(しんけっきょ)・脾気虚(ひききょ)」の事です。
浮腫・倦怠・話すのが億劫・食欲不振・汗をかきやすい・軽度の腹部の張りや痛み・軟便・息切れ

「憂鬱傷心(ゆううつしょうしん)」の固有の症状
落ち着かずいてもたっても居られない感じ・喜怒哀楽が激しい・不眠
臍部の動悸を自覚する・身体の蟻行感

「陰虚火旺(いんきょかおう)」の固有の症状
眩暈・動悸・入眠困難・怒りっぽい

以上が慢性期の弁証(べんしょう)と症状です。

治則及び処方

弁証(べんしょう)の次は治療について説明をしてゆきます。
当院の治療は基本的に鍼灸治療になりますが、ここでは各弁証(べんしょう)についてどのような観点で治療法(選穴)を決定してゆくのかを簡単に説明してゆきます。

『肝気鬱結(かんきうっけつ)』に対しては

「疏肝解鬱(そかんかいうつ)」と言って「肝」を整え、鬱状態を解き放つ目的の治療をいたします。
ツボ:太衝・膻中・内関・肝兪・脾兪・足三里など

『気滞血瘀(きたいけつお)』に対しては

「理気活血(りきかっけつ)」と言って気の流れを改善させ、且つ血の流れを改善させ瘀血を取り除く目的の治療をいたします。
ツボ:肝兪・膈兪・三陰交など

『気鬱化火(きうつかか)』に対しては

「清肝瀉火(せいかんしゃか)」と言って肝にアプローチして熱を下げる目的の治療です。
ツボ:陽陵泉・行間・内関など

『気滞痰鬱(きたいたんうつ)』に対しては

「理気化痰(りきかたん)」と言って気の流れを調整して気の力で痰を取り除かせます。
ツボ:天突・内関・膻中・行間・豊隆・魚際など

『憂鬱傷心(ゆううつしょうしん)』に対しては

「養心安神(ようしんあんじん)」と言って心を滋養してリラックスさせる目的の治療をいたします。
ツボ:百会・大陵・神門・心兪・中脘・足三里・太谿など

『心脾両虚(しんひりょうきょ)』に対しては

「健脾養心(けんひようしん)」又は「益気補血(えききほけつ)」と言って前者は脾を建て直して心を滋養する治療です。
後者は気を益させ血を補する治療ですが、脾は血を造る臓器ですから脾を建て直せば血も益しますし、心は血脈を司る臓器ですから養心すれば血も補せられます。ですから対象が臓器か気血の違いだけで前者も後者も内容は同じです。
ツボ:神門・心兪・脾兪・三陰交など

『陰虚火旺(いんきょかおう)』に対しては

「滋陰清熱(じいんせいねつ)」といって陰液を補して熱を下げます。車に例えるとラジエターの水を増やして熱を下げるイメージです。
ツボ:神門・心兪・内関・太谿・複留・志室など

以上が治則と配穴になります。
皆さんに知っていただきたいのは、一口に「うつ」と言ってもこれだけの種類の弁証(べんしょう)(区別)があり全てにおいてツボの処方が違うという点です。東洋医学には「同病異治・異病同治」という言葉があり、その意味は同じ病気であっても患者さんの体質や病状で治療の仕方が違うこともあれば、異なった病気であっても同じ治療になることもあるという事です。まさしく患者さんそれぞれに合わせたオーダーメイドの治療です。
最近TVや雑誌でよく「この症状にはこのツボが効く」とか言われていますが、実際はそんな単純なものではありません。それらはあくまで対処療法的なもので根本からの治療には、残念ですがなりません。これが「東洋医学の見立て」です。ご理解いただけましたでしょうか。

予防養生

一口に「うつの予防養生」と言っても数え切れないくらいの種類がありますが、どなたでも簡単に日常生活に取り入れやすいものだけにしぼり、特にうつの原因である「ストレス」と「セロトニン」へ対して効果が期待できる方法を紹介させていただきます。

ストレス解消に効果的なツボ押し法

「内関」
内側の手の関節から指3本分上にあります。
「太衝」
足の甲で親指と人さし指の接合点、甲の一番高い部分の手前のへこみです。

<ツボの押し方>

  • 「痛いけど気持ちがよい」くらいの力でお腹から息を吐き出しながら押します。
  • 押す力をゆるめる時に息を吸います。
  • 何回か繰り返し押して下さい。
お茶によるストレス解消法

『医食同源』という言葉は皆さんも聞いた事があると思います。「食事も医学(薬)と同じである」という考え方ですが実はお茶もこの考え方の延長線上に位置します。(中国では「医茶同源」と言う言葉があります)

『気』の流れを良くしてくれるお茶
ストレスにより滞った「気」を流してくれます。

「ジャスミン茶」
ジャスミン特有のさわやかな香りが「気」の滞りを流してくれます
「ミントティー」
ミントの爽快感が「気」の滞りを流してくれます
「刺五加茶(しごかちゃ)」
免疫力を高めて体力を整えてくれます
「しそ茶」
「気」を流して精神を安定させてくれます

食べ物によるストレス解消

次にあげる食べ物は滞った「気」を流す作用があります。

《魚介類》
かき、あさり、かに、しじみ、しらす、しゃこ
《野菜》
みょうが、三つ葉、春菊、パセリ、セロリ、しそ、小松菜、キャベツ菊の花、にら、ねぎ、からしな、大根、かいわれ大根、かぶ、カリフラワー、おかひじき、グリンピース、たまねぎ、つるむらさき、にがうり、もやし
《果物》
金柑 レモン、グレープフルーツ、みかん、ゆず、いちご
《その他》
牛乳、しょうが、こしょう、八角

セロトニンの活性化

食養生
セロトニンは「トリプトファン」と「ビタミンB6」から合成されています。この二つは赤身の魚や肉に豊富に含まれていますから、うつ病の予防には動物性たんぱく質の摂取は有効です。しかし動物性たんぱく質ばかりに偏った食事にならないように注意してください。
又、気分が落ち込むと身体を冷やしますから身体を冷やすような食べ物はひかえましょう。

運動
「セロトニン」は光を浴びると生産量が増すといわれていますので、早朝や昼間に太陽の光を浴びながらウォーキングなどをおこなってください。大事なのは一定リズムで5分以上行うことです。

うつ病のストレス解消以外に効果のあるお茶

《血行促進の働きがあるお茶》
『鬱証』の中でも「気滞血瘀(きたいけつお)」タイプに効果があります。

「ウコン茶」
カレーの香辛料の「ターメリック」と同じ原料です。
「玫瑰茶(まいかいちゃ)」
紅茶にローズや、はまなすの花をブレンドしたお茶です。

《その他の効果のあるお茶》
「菊花茶」
のぼせ・ほてり・イライラなどを鎮めてくれます。「気鬱化火(きうつかか)」のタイプに効果があります。
「なつめ茶」
精神安定に効果があります。「不眠」や寝る前に飲むとよいです。

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